第2節「時間対効果を上げるインストラクション」 
 
 
パーソナルトレーニングサービスは30分間だったり90分間だったり、サービスに時間が決められている場合が普通です。
 
それゆえに、サービスの時間帯価値はトレーナーの誘導スピードやタイミングに強く関与します。
 
例えば、お客様が同じ運動メニューを指導されるとして、それが同じ60分間10000円と言う指導料金だとしたら、無駄のないスムーズな指導の方が時間帯価値は高いと言えます。
 
さらに、同じ時間の中で同じスクワット20回を指導される場合も、「横でカウントするだけのトレーナー」よりも、「注意点の指摘や呼吸の促し、タイミングの良い励まし」などの有るトレーナーの方がパーソナルトレーニングのサービス価値は高いと言えます。
 
インストラクションは、この「サービス価値」を高める為にトレーナーが身につけておいた方が良い技術です。
 
トレーナーのキャラクターによって、得手、不得手はあると思いますが、基本的な技術を抑えておくだけでもレッスン自体の進行が楽になりますので、是非体得してみてください。以下にまとめます。
 
インストラクション①
〈スタートとゴール〉
 
インストラクションはレッスンの始まりからレッスンの終わりまで続いています。
 
例えば、お客様にその日初めてお会いした時に、
「こんにちは。今日もよろしくお願いします。頑張って参りましょう。」
 
と言えば、レッスンがスタートします。
 
お客様とお別れをする際も
「今日もトレーニングお疲れ様でした。頑張りましたね。次回も楽しみにお待ちしております。」
 
と言えば、レッスンはゴールします。
 
当たり前かもしれませんが、スタートとゴールがしっかりしている事はとても大事です。レッスンとして引き締まります。
 
それと同じように、トレーニングの各種目毎でのスタートとゴールでのインストラクションも大事です。
 
トレーニングが「始まったのか」、「終わったのか」をお客様へ明確に指示しなければいけません。
 
例えば、お客様にスクワットを20回行ってもらうとします。この時にトレーナーからスタートの掛け声が無ければお客様は
 
「え?始めて良いの?って言うかこれじゃ1人でやるのと変わんないんじゃない?指示くらい出してよ。」
 
と思われても仕方ありません。
 
種目のスタートの際は、出来るだけお客様の気持ちを盛り上げ、出来るだけお客様が気持ちの良いタイミングで
 
「せーの!」
 
と、インストラクションをするのが望ましいです。
 
同じように種目のゴールでも、
 
例えば、スクワット20回のメニューだった場合、「20回行ったら勝手にやめてください」みたいなスタンスではいけません。
 
15回目くらいから、カウントを始めて
 
「15,16,17,18,19,はい!お疲れ様でした!頑張りましたね!綺麗なフォームでしたよ!」
 
と、言って誘導した方がお客様にとっては価値が高いに違いありません。
 
トレーナーによっては
 
「いや、そんな小っ恥ずかしい事できないよ。お客様だってそんなの嫌がる人もいるし。」
 
と、思うかもしれません。確かにトレーナーのキャラクターによってはそれが違和感になる場合もあるので、ソコは空気を読んで行う事も大事です。
 
トレーナーとお客様の距離感で最適なインストラクションができる事も、トレーナーの力量だと思います。
 
少なく共サービスを受ける側のお客様目線ではそう言い切れると思います。
 
サービスの価値は、「お客様目線」と「トレーナー目線」で噛み合わない場合があります。
 
トレーナー目線でのサービス価値が「専門性」である場合が多いのに対して、お客様目線では「サービス性」に重きが置かれたりします。
 
気持ちの良いサービスを望んでいるお客様に対して、トレーナーが「自分の仕事はトレーニング指導だからサービス性は関係ない」と対応すれば、レッスンのサービス価値は著しく低下します。
 
伝える内容はもちろん大事ですが、伝え方もそれと同じくらい大事です。
 
インストラクションレベルは、意識しなければ向上しません。
 
日々の1本1本のレッスンの中で、いつも向上を意識して、いろいろな事を試してみてください。