4-4 第4節「未来を築く、自分の管理」
 
運動指導を仕事にする場合、どのような立場であっても将来を見据えて働かなければ、どんなトレーナーであっても危険です。
 
わかりやすく、2つの例で説明します。
 
例えば、スポーツジムの社員としてトレーナーになりレッスンやマシンインストラクターを続けたとします。この場合、将来を何も考えずに運動指導を続ければ、いつか会社内でのポジション争いで不利な立場になります。著者である私も27歳までジムの社員として働いていましたし、今でもジムの社員をしている友人と情報交換をしますので、リアルにその光景を目の当たりにしています。
 
どんなに優秀で人気のトレーナーでも、会社としては運動指導が得意な人よりも経営がわかる人を上の立場に立たせたいものです。簡単に言えばトレーナー職よりもフロント職の方が、同じ社員でも出世できる可能性が高いという事です。
 
では、社員トレーナーと言う立場で将来を見据えるとは、何をしたら良いのでしょう?
 
それは、毎日の指導の中で、将来、会社の集客に役立つだろう情報を現場ならではの視点でまとめておく事、さらに退会の傾向をデータ化し、その対応策を作っておく事です。この情報はネットで調べたら直ぐに出てくるようなものではなく、現場で活動していたからこそ得られるトレーナーならではの情報でなければいけません。さらにはその情報を出すタイミングや、プレゼンテーション能力など予め備えて準備をしておく必要もあります。
 
ジム経営の要は、集客数と継続率を伸ばす事です。お客様が通いたくなる理由を知っていて、退会しない為の施策も組み立てられる人財であれば、会社は必ず良いポストを用意します。
 
次の例は、フリーランスで働くパーソナルトレーナーやスタジオインストラクターです。
 
これらの立場の指導者の将来に特別な正解はありませんが、少なくともレッスンだけの毎日を繰り返していたら将来の選択肢は多くありません。
指導者も年齢により、置かれる状況も変わってくるでしょうから収入を上げていかなければいけません。
 
いつかはレッスン以外の仕事にも目を向けていかなければいけませんが、その為には準備をする時間とお金が必要です。正攻法としてはレッスン料金を値上げする事ですが、これができずに変化できない指導者は大変多いです。値上げと言っても1レッスンあたり1000円とか2000円の値上げでは未来が変わるほどではありません。思い切って2倍3倍の料金に上げ、新しい活動を作る自由な時間を捻出してこそ未来は開けます。そんな事は無理だと思えば、それまでですが、本当にやる気であれば、知恵は出てきます。例えば60分8000円の人なら90分18000円に変えてみる。値上げに対して周りの目が気になるなら、知り合いに見られないように活動範囲をずらしてみる。など、方法はいくらでもあります。
 
詳しくはTRAINER CLASSの「集客」のパートでお話をしますのでそちらも是非参考にしてみてください。
 
これらの例のように、運動指導者は日々のレッスンも大事ですが、自分の将来を考えることも非常に大事です。
安定感のある仕事とは言えない業種ですから、真剣に考えていきましょう。