第2章「カウンセリング」
 
 
カウンセリングはお客様からサービスを購入して頂けるか否かが決まる、お仕事として考えた時に最も重要なパートです。
 
例えレッスンが上手でも、カウンセリングが上手くいかなければ、成約には結びつきません。
 
同様に例え集客が上手くいって、沢山の人からお問い合わせを頂いてもカウンセリングで失敗すれば売り上げにはなりません。
 
その意味で、カウンセリングはサービスの中で最もお金に直結したシビアな分野だと覚えておいてください。
 
その為、トレーナーの多くが「レッスンは好きだけど、売り込んだりするのは苦手。」という傾向にあります。
 
しかし、どんな商売でも営業が苦手な人はどこかで損をします。トレーナーであれば、余計な中間マージンが発生したり、安く見積もられたり、そんな事が少なくなるようにカウンセリングの能力を高める事は非常に重要です。
 
カウンセリングは頭を整理して練習すれば、誰でも上達します。
 
第2章のカウンセリングの全体像、カウンセリングで説明する順番、各パートの中身を解説します。
 
このパートを参考にして、自分なりのカウンセリングに落とし込み、ぜひ現場で試してみてください。
 
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第1節「カウンセリングの全体像」
 
カウンセリングの全体像は
 
「現状説明」
 
「目標設定」
 
「そのために何をやれば良いかの説明」
 
「体験レッスン」
 
「セールス」
 
の、流れで構成されます。
 
例えば、ダイエットであれば、
①「現在の体重は○kg」「医学的に見て〇〇な状況」
↪︎【現状把握・現状説明】
 
②「目標は〇〇kgが望ましい」「その根拠は〇〇だから」
↪︎【目標設定】
 
③「減量の為に今日から〇〇をやりましよう。」
↪︎【その為に何をやれば良いのか】
↪︎【メニューへの落とし込み】
 
④「実際に少し動いてみましょうか。」
↪︎【体験レッスン】
 
⑤「目標に合ったサービスプランをご案内させて頂きますね。」
↪︎【サービス説明・セールス】
 
のような流れで進みます。
 
慣れてきたら、ケースバイケースで順番を変える事もあるかと思いますが、まずはこのスタイルでスラスラと言葉が出てくる練習する事をお勧めします。
 
このスタイルで容易に最後までできるようになりましたら、その後はどんなニーズのお客様が現れても基本的には慌てる事なくカウンセリングができるようになっているはずです。
 
一般的な生理学や解剖学の学習もこのカウンセリングの型を、身に付けてから学ぶ事で、「あ、これはカウンセリングの説明で使えそうだから覚えておこう」とか「これをカウンセリングで話せば、お客様に納得してもらいやすいな」など、現場に生きる学びに変わります。
 
全てのサービスは他のサービスにつながっていますが、カウンセリングは特に実力の集大成とも言えるパートです。
 
レッスンをしている時も、集客を考えている時も、常にカウンセリングの成功率に絡めて腕を磨いて行く事をお勧めします。

第2節「現状把握」
 
「現状把握」とは、お客様がお客様の目標に対して現在どのような状態かを把握できる能力の事です。
 
この能力が高いトレーナーは、お客様から強い信用を獲得できます。
 
例えば、ダイエットが目的のお客様がいたとして、このお客様のカウンセリングをする時を想像して見てください。
 
お客様はカウンセリングで自分の事を知りたがっています。
 
自分は本当に痩せられるのか?
痩せられるなら、その根拠は何か?
 
何キロくらい痩せられるのか?
どのくらいの期間で可能か?
その根拠は何か?
 
これらの疑問に対して、お客様に質問される前から医学に基づき理論的に順序立てて説明できるトレーナーは能力が高いと言えます。
 
一方で、一般論だけを説明するだけのカウンセリングでは、お客様の納得度は低く信用もされにくいものです。
 
それでは、お客様の現状を把握できる知識とはどのように勉強すれば良いのでしょうか?
 
トレーナーのカウンセリングにおいては主に、生理学、解剖学、栄養学の3つに加え、心理学も学んでおく事が必要です。
 
生理学と解剖学では、現在の体の状態を分析する為、栄養学ではお客様の食習慣を分析する為、心理学ではそれらの情報をお客様に気持ちよく伝える為に必要です。
 
これら、座学について、ここでは割愛させて頂きますが、必要と感じた方は、引き続きW&Tで学んで頂ければと思います。
 
W&Tでは、カウンセリングで必要な知識から逆算してわかりやすく座学をお伝えしています。

第3章「目標提案」


 
お客様の目的に対して、目標を提案できる能力はカウンセリングをヘルスコンサルティングのレベルに引き上げる際、重要となります。
 
例えば、ダイエットが目的の人がいたとします。
 
このお客様に対して、モチベーションを上げて頂くために「目標設定」は非常に大事な事となります。
 
より具体的で、想像しやすく、ワクワクできる目標の設定ができるトレーナーはお客様に支持されやすいです。
 
「2ヶ月で5kgの体重を落としましょう。必ず落ちます。大丈夫です。その為の効率的な方法を私がご指導します。2ヶ月後に着たい服を今から選んでおいてください。必ず綺麗に着こなしています。」
 
のように、数字で設定し、メリットも具体的に伝えられれば、それだけでもお客様はダイエットをする意味とそのゴールが明確になります。
 
ゴールの不明確な目標は辛いものです。
 
お客様には、それらをはっきりとお伝えし、実現は自分がついているから必ず達成できると明言してあげましょう。
 
それを伝え、それを本当に実現できるよう、トレーナーは常に強い責任感を持ち、学びを怠らぬように致しましょう。


第4節「行動指示」
 
カウンセリングでお客様の「現状を把握」して、「目標を設定」したら、その後には必ず具体的な行動指示をしなければいけません。つまり、ゴールの為に何をしなければいけないかを指示しなければいけません。
 
ここでも、ダイエットを目的としたお客様を例にお話しします。
 
お客様は、トレーナーから具体的な指示を待っています。ここでポイントなのはただの指示ではなく「具体的な指示」である事です。
 
例えば、「食事を減らしましょう。」だけではなくて
 
「〇〇さんの場合は、〇〇が心配なので、お夕飯の〇〇を○%くらいカットするようチャレンジしてみてください。その代わりに〇〇を〇〇くらい〇〇のタイミングで加えると栄養価がアップして美容に対しても安心です。その際、サラダなどに加えるのがオススメです。消化の効率を考えて、茹でで召し上がって頂ければ完璧です。」
 
など、一般論ではなく、そのお客様だから、この指示になる。とお伝えする事や、「何」を「どのくらい」「どうする」のかをできるだけ具体的に指示してあげられるトレーナーは、お客様から重宝されます。
 
これらの指示に関しては、「細かく教えてくれるトレーナー」と、「ほとんど教えてくれないトレーナー」とでは、お客様の評価で明確な差が現れます。
 
お客様はその差を見極め、どのトレーナーにお願いするかを決定します。その見極めるタイミングがカウンセリングです。
 
カウンセリングのタイミングで、「このトレーナーさんは、本当にわかりやすく明確に指示してくれるから安心」と思って頂けるよう、座学の知識だけではなく、トレーニング種目や調味料など広く伝えられるネタも研究しておく事もトレーナーにとって大切な事です。

第5節「体験レッスン」
 
お客様に自分のサービスを選んで頂きたいのであれば、ほんの少しでも必ず「体を動かす時間」を作ってあげてください。
 
「百聞は一見にしかず」と言いますが、カウンセリングでお客様から目的を聞き出し、その目的がヒップアップだった場合、その方法を説明するだけではなく、その種目を実際に体験して頂いて、お尻に短時間で筋肉痛にする事ができれば、お客様にとって1番の説得力になります。
 
このように体験レッスンが有るのと無いのとでは、お客様の判断材料に大きな差となります。
 
当然ながら、体験レッスンをしてくれたトレーナーは成約率は高くなります。
 
それを理解した上で、注意したい事もあります。以下です。
 
①体験レッスンでやり過ぎない
 
例えば、体験レッスンで1ヶ月分のメニューを指導してしまえばそれはやり過ぎです。
 
お客様によっては「メニューがあれば、自分1人でもやれそうだ。」と判断してしまう場合もあり得ます。トレーナーもお仕事ですから、その判別を良い塩梅で線引きし、お客様から「もっと知りたい、次のレッスンが楽しみだ。」と思って頂けるような体験レッスンを提供できるよう心がけましょう。

第6節「サービス説明」
 
サービス説明とは、簡単に言えば「セールス」です。
 
この能力に関してだけは、トレーナーの能力とは別と言えます。
 
優秀なトレーナーであっても、この「セールス」が苦手な方は単純に仕事として高い結果を残せません。
 
反対に、それほど優秀でないトレーナーであってもセールスの能力が高いトレーナーは仕事としての成約率を高くする事ができます。
 
残酷ではありますが、ビジネスの観点では当然の事です。
 
どの業界でも「技術は優秀なのにセールスが苦手な人」は多く存在します。とても勿体無い事です。トレーナー業界も然りです。
 
これは、トレーナー本人の不利益だけではなく、お客様にとっても不利益な事です。
 
セールスの勉強をおろそかにせず、お客様から気持ちよくサービスを購入して頂ける準備を整えましょう。
 
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サービス説明について、簡単にまとめましたので以下を参考にして整理してみてください。
 
①まずは最初にお客様のスケジュールを伺う
→「もし、通われるとしましたらご希望の曜日やお時間帯などはありますか?」
→最初にスケジュールが理由で通えない方でないかを確認してください。最後に発覚してしまうと今までの説明は全て水泡と化します。
 
②スケジュールが大丈夫であれば、システムの説明をしましょう。
→パンフレットを事前に必ず用意しましょう。パンフレットをもとに説明する事で落ち着いて説明できます。
→パンフレットには「価格」「予約方法」「キャンセルポリシー」だけは明記してください。
 
③キャンセルポリシーの確認とサイン
→返金ができない事や当日キャンセルなどの規定について、必ず確認して頂き署名していただきましょう。自分を守る上でとても大事な事です。
 
④お支払い方法の説明とお支払い
→「お支払いは現金、またはクレジットカード、またはお振込となりますが、いかが致しましょうか?」と決め文句を決めておくと、スムーズに決済に進む事ができます。
→このタイミングが最もデリケートな時間になりますので、お客様が気持ちよくお買い物をして頂けるよう、細心の注意を払いましょう。
 
さらに細かくは私のnoteでも、クロージングマニュアルとして紹介しています。無料で読めますのでご興味のある方は参考にしてみてください。
 
 
「サービスを売る」というのは、とてもプレッシャーのかかる事です。物を売るのとでは、わけが違います。
 
その上で、トレーニングサービスは自分の実力が強く関係しています。実力に自信がなければ詐欺になりかねないと不安になります。
 
しかし、実力に自信がなくてもセールスは勉強と練習をしておいてください。
 
サービスは売れる事で、そのクオリティも上がります。
 
自信がないからと言って、逃げてはいけません。
 
まずは買ってもらい、その上で至らぬ点はお客様からお叱りを頂くこともあるかも知れません。
 
お叱りを頂く事で、悔しさを味わい、恥もかき、反省し、勉強し、サービスは改善されていきます。
 
私自身、今でも失敗し反省する事は日常茶飯事にあります。そのお陰で今があると思っています。
 
トライ&エラーを繰り返し、より良いサービスを作っていきましょう。